· 

バッハのレシピ

「楽譜通りに弾かなきゃだめ?」


おとなの生徒さんが

こんなことを言ってきました。


アンナマクレダーナの小曲集を弾いてます。


「一応さ、楽譜通りに弾いてみて、

それから考えたら?」

 

「だってさ~

こんな風に弾くと楽しいじゃない?」

「のだめみたいに

自由に弾いちゃだめなの?」


(それ、マンガの世界ですけど‥‥)



ぱらぱらと譜面も見ずに弾きますが

なんとなく、不満気に思っているようす。

思い通りに弾けない、いらだちか

自由に弾けないことへの不満か?

     


(さてさて~

なんて、たとえようかな?)


「バッハの譜面ってさ、

ラーメンのレシピだと思うんだよね」


 

「???らーめん???」

     

「楽譜は、レシピなのよ。

 

でもさ、バッハの場合、

材料は、麺、スープ、

作り方は、①麺を茹でる②スープに入れる。

以上!これしか、書いてなくて。

まあ、料理ができれば想像しながら、

作れるけどね。

 

麺は、縮れ麺が好きとか、

細い太いから始まって

茹で方は、バリカタが好みととか、

スープだって色々あるじゃない?」

 

「プロってさ、スープは鶏がら茹でて、

豚骨割ってるのよ。

そりゃ、インスタントでも

それらしい味にはなるけど

熱々の極上の一杯には、

お湯で溶いて終わりと比べたら

かなわないと思うよ~」

 

 

「ラーメンって

お店によって全然違うしね。

邪道のトマトラーメンでも

たまにはいいけど。。。

私だったら、

プロが作った丁寧で

正統なラーメン食べたいなあ」

 

わかったような、

わからないような顔をしている。

 

 

「たとえばね、

麺とスープが入っていれば、

ラーメンでしょ?文句ある?

といって、

茹ですぎで、ぐちゃぐちゃなラーメンは

食べたくないでしょ?」

 

「そっか。。」

 

楽譜を料理のレシピにたとえるのも

ましてや、大好きなバッハを

ラーメンにしてしまうのも

 

いかにも浅はかな考えで

もう勉強不足丸出しでお恥ずかしいのだが

 

それを承知で言うなら

今勉強中のモーツァルトは

「日本料理」

 

日本料理は、素材の目利きから始まって

素材を生かせるプロならではの腕と

四季を意識した見た目の美しさ、

きっちりした包丁使いに

トータルな調和。

 

 

「ショパンは、スイーツだよね?」

「お菓子の世界は、計量カップ必要だしね。

繊細かつ厳密。センスも必要だし」

 

料理談義してから、

「まずは、楽譜を見ようよ。

もしかしたら、秘伝が隠れているかもよ。

レシピを見て、料理の仕方は人それぞれだけど

おいしいものが食べたいって思わない?」

 

バッハをラーメンにたとえた

私をお許しください。